曲紹介 (YouTube)

wk[es] - "I/F"

2014/10/06

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電子音楽に対する批評として、「無機質」「人間らしさがない」などの批評はメジャーだ。それらの批評は往々にして否定的な意味である事が多いし、事実自分もそのような意味で批評する事は多い。しかし、そういった音楽もある一定の質を越えると、それらの批評は否定的な意味でなくなり、ただ対象となる音楽の個性を描写したものになる。wk[es] の I/Fもそう思わせるような音楽を作っている。

Hz-recordsの同アーティストのプロフィールページによると、1998年からギタリストとして活動を開始し、都内を中心にバンドメンバーとしてキャリアを積んでいたそうな。2008年よりwk[es] (ダブリュー・ケー・エス)名義で活動をスタートさせる。そして2010年にはPakcheeと共に電子音楽レーベルHz-recordsを設立。同レーベルのコンセプトは「踊れる電子音響」。 wk[es]はそのコンセプトを軸に、「エレクトロニカ、ノイズ、グリッチ、IDM、エクスペリメンタルなどの電子音楽を消化したコンピュータでしか成し得ない人工的な周波数デザインを使用した先端ダンスミュージック」を作っているそうな。既に海外からも高い評価を得ていて、イタリアのデザイン家具メーカーVALCUCINE”Milano Design Week 2012” のプロモーションビデオにも楽曲を提供している。この曲I/Fは彼のアルバム、interfaceからの一曲。

一つ一つの音のクオリティの高さが、この無機質性に説得力を持たせているように思う。圧迫感のあるキックの音、散りばめられた多種多様なノイズと信号音が、ビートを生みだし、そのビートに呼応するように、映像の中央にある抽象的な物体がその形状を変化させる。最後までに聴いていると、非音楽的な音楽でありならがも、曲構成はちゃんと音楽的に練られているな、という印象を持つ。